「春風」/ソティロ
 

ぼくは
それでどこかへ
ここではないどこかへ
行ける
深く
そんなオブセッション、の甘み、に
抗うだけの、
ちからもなく
今日





でもあいにく今日は
そんなこともなく
遠くの方で
薄汚い埃が舞って
低空に雲も多く
伸ばしたような
水彩の水色
捨ててしまった、絵の具の





そして
ずいぶん前から
詩を知ってしまっていた





ごうごうと
つよい風が
建物に
打ち付けていた





ぼくは救われなくて
少しわらった






戻る   Point(6)