「春風」/ソティロ
 
「春風」






よく晴れた
からだごと奪うような
つよい風、の
朝に
最上階へ昇る
屋上は閉まっているから





エレベータに乗っている間
次の季節や
その先を
思う
冬は嫌だ
冬は嫌だ
冬は嫌だ
冬は嫌だ
冬は嫌だ
冬は嫌だ
もう、
冬は嫌だ





春で、終わる
もう桜も散りだしてしまったなぁ





エレベータが開いて
ふと見渡すと
空が
真っ青のグラデーションで
春の特別な日の青空は
透明度の高い海水
に似る

一瞬、眩しさに
目を細めて
吸い込まれるように 飛んで


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