余剰の中で/水町綜助
 


かすかな共鳴の中で

僕は今また楽器を

たたいて
たたいて
いる

弾けはせず
吹けはせず
叩けもせず
たたいている

ばんばんばちばち

蛇足のように
たたいている

触れる部分を

手当たり次第に

ひっぱたいている

たいしたことなど
僕にはわからず
言葉も持たない

昔 のことは
これから のことは
未視として

今 については目にも留まらない
それは いつ でもない

僕は
現在日 というみじかい悠久の中で

見て
さわる
などしている
ごくり




















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