余剰の中で/
水町綜助
かすかな共鳴の中で
僕は今また楽器を
たたいて
たたいて
いる
弾けはせず
吹けはせず
叩けもせず
たたいている
ばんばんばちばち
と
蛇足のように
たたいている
触れる部分を
手当たり次第に
ひっぱたいている
たいしたことなど
僕にはわからず
言葉も持たない
昔 のことは
これから のことは
未視として
今 については目にも留まらない
それは いつ でもない
僕は
現在日 というみじかい悠久の中で
見て
さわる
などしている
ごくり
戻る
編
削
Point
(18)