キヨスクと詩集/楢山孝介
最寄り駅にあるキヨスクでは
店員のおばちゃんが詩集を売っている
おばちゃんの書いた詩や
駅員の書いた詩や
ホームの柱に落書きされていた誰かの詩が
そこには載っている
地域住民の出した詩集も一緒に並べられている
全て百円であるから、結構売れているようである
僕も時々買う
「あんたも何か書いたら? 印刷所紹介しよか」
と声をかけられたりする
僕は嬉しさと恥ずかしさを押し隠して
黙って首を振る
おばちゃんは別に
僕が詩を書いていることを見抜いたわけではなくて
詩集をよく買う客にはとりあえず声をかけてみるらしい
おばちゃん作の詩にそんなことが書いてあった
「私は毎
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