百五円の繰り返し/ぽえむ君
世の中には春が訪れたというのに
一人だけ取り残されたかのように
生活に冬が続いている
わずかな陽だまりにその温かさを
見つめるしかない生活
小さな机の上には
灰皿と百五円の使い捨てライター
もうすぐ中の液体がなくなりそうで
またどこかで買わなくてはならない
使い切っては繰り返す百五円は
自分そのものに思えて
捨てきれないままペンスタンドに
放り込む
せめて自分だけはその百五円に
ありがとう
と言っておこう
百五円に火が灯る間は
その火に感謝しよう
この繰り返しはいつまで続くのだろう
わからないけれど
ありがとうを繰り返そう
百五円のライターに火をつけて
ぼんやりとしながら一服するタバコは
春を待つ味がする
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