しわ/わら
 
何人目かのオンナが踊っていた


純粋だった景色も
捨てられた新聞紙のように
風に吹かれ、転げてゆく夜の雑踏

街は痛みも
嘲笑で、もて遊ぶ


ナマあたたかい酒を知り、

生きていくうちに
無防備にあけひらいた心が、
それ以上、キズつかないようにと

無頓着な騒々しさの中に
こころを、堕していった


無神経な者ほど、つよいものはなく、

下卑た笑いほど、こころをごまかせるものはなかった



ほんとうは、みんな、

純粋だったのに。




カウンターごしに、
だれかが、なにかをつぶやく

「なに言うてんの?

 そ
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