午睡/水中原動機
 
おとなになれば
どこにでもいける
なんにでもなれる
そうおもってた

現実にはそうじゃない
ただ、どこでも眠れるよ
通勤電車のかたい椅子で
午後の公園で

桜吹雪が舞い散って
花びら敷き詰められた
芝生でうたた寝
日差しはあたたかい

夢の中でボクは
動物園の飼育係だ
お客さんの中にキミがいて
にこにこしてる

家族連れがいて
子どもがカバを指さして
お父さんが何か
説明してる

カップルがいて
男の子がアシカの前で
動かなくなって
女の子が退屈そう

おじいちゃんとおばあちゃん
ベンチに座って
遠くを見ながら
お弁当を食べている

目を覚ますと空には雲があって
時計は1時5分前
そう今だって、どこにでもいける
なんにでもなれるんだ
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