リプロダクト/
ふう
正距カトラリー。ダイニングまでがあまりに遠い。
右目を庇いながら脚を交える。椅子の位置は知っていた。
跫音と確かな意識で歩測している、という感覚に慣れたころ
今度は見えるはずの左目が疎ましく思えるのだから不思議だ。
上空へ巻き上がる螺旋階段。その中空でプレートを覗く。
曝した両手は降られて、地形は遥かで歪んだ。
いつか見た海豹の群れが横切り、切り裂けた雲は巨大な影を曳いている。
息吹よ深く。触手を伸ばす午後、視界空腹にて。日没は近い。
戻る
編
削
Point
(6)