ばくだん/ふるる
子供達は
頭の大きさほどのばくだんを抱え
海辺にたどりつくと
次々とそれを投げ込んだ
ことごとく不発のそれは
波に飲まれ
海はあざ笑った
次はよく破裂するものを持っておいで
大人達
(海にばくだんを投げ込むのをやめた子供達)
は
海辺のテラスでそれを眺める
あの子達あんな無駄なことして
なんであんなことするのか
全然意味が分からない
子供達は
夜な夜な小さな灯りの下で
ニトロや火薬を調合する
指が黒くなる
咳が出る
海辺には
ばくだんの残骸が流れ着いて
(かなしみを抱きしめることを教えに行く)
(と大人達は書くだろう)
空は青かったためしはない
あれは白やグレーがぶつかってたまに青白く光るだけだ
雲は白くない
波は高くない
ばくだんは破裂しない
意味が分からない
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