水平線の理由/Rin K
夜空に見える、という
星座ってやつが
点在する星をつないで
こころでみる絵画だった
とは、しらなかったころ
僕は君の名前を
まだしらなかった
君の名前を
まだしらなかったころ 僕は
スケッチブックに空と
海ばかり描いていた
そんなことをしながら 僕は
水平線、ってやつが
なぜできるのかということに
疑問すらもたないまま
気がついていったんだ
点在する星のつなぎ方を変えながら
オンリー、なんて星座を
こころで描いている君
と 散らばった波のまにまに
動かない星を探しながら泳いでいる僕
との間にも、やはり
水平線ができている
抱き合えば君も
そんなことを、感じてしまうかもしれない
ここから星までの距離より
水平線のほうが長いんだよ、と
そういって笑ってみせた僕の
となりで君はあまりにも
たやすく、泣いた
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