翼を捨てた鳥/ぽえむ君
 
その鳥はとても小さく弱かった
食べ物を見つけても
すぐに他の動物に横取りされたり
時にはその鳥自身が食べられてしまったり
することもあった
その鳥にとってこの世界のどこかを
支配するどころか居場所すらなかった
無理だとか不可能だとか
そんな言葉で満ちていた
しかしその鳥は絶滅の道を歩かなかった
鳥は鳥の象徴とも言うべき翼を捨てた
翼を捨てた鳥は空を飛べなくなった
しかしそのかわり
海を飛ぶようになった
厳しい環境の中に適応したのだ
かつてそこはどんなに強い
どんなに大きな動物であったとしても
その場所を支配することは
それこそ無理あるいは不可能だった
誰もができなかったことを実現したのは
小さくて弱い生き物だった
鳥は体をデザインする以前に
すでに心をデザインしていたのだ
翼を捨てた鳥は
その翼で大空を飛ばなくとも
心の翼ですでに飛んでいた
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