「春のはじまりに」/ソティロ
 
「春のはじまりに」



春のはじまりに
ぼくらいい気になって
待ち合わせをして
薄着過ぎるままで
ふたりで桜めざした


*


始めのうちは
すこし肌寒いけど
これぐらいがいいねとか
風が気持ちいいねとか
言ってた
ひさしぶりの道で
新鮮な懐かしさを味わってた

しばらくして
その日は天気雨
ぽつぽつと疎ら
これぐらいなら平気だねとか
むしろ思いっきり浴びたいよとか
言ってた
花曇りと青空と
欲張って両方を味わってた

池のほとりで
桜を見ては
今年の桜はあまり奇麗に咲かなさそう
気が早いよまだ蕾みだらけだ
なんて言ってた
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