春の夜の公園/ぽえむ君
春の夜の公園は寒かった
暖かい陽射しに守られていた時は
ベンチに老人が座り
子どもたちが走り回って
木々も上へ上へと伸びていた
そこには春の温もりが広がっていた
日が暮れるとともに
公園の中の動きも沈んでゆく
この世界は眠りへと流れてゆく
風に揺られたブランコの音は
明日への子守唄
砂場の山は元に戻され
今日という日が思い出と変わってゆく
星は綺麗に輝いている
暗がりの公園の中にも
小さな光を見つけることができた
それは縁石の上の
きちんと並べられていた
ジュースとコーヒーの空き缶だった
春の夜の公園は寒かった
しかしそこには春があった
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