呼吸/わら
おまえの与えてくれる苦痛は
いつも、生ぬるい
絶望なんていう造形は
そんな光景じゃ、描写しきれやしないんだ
愛したことの罪と罰だなんて思考は
夜の帰り道じゃ、ちっぽけだ
寒さに凍え、ポケットに手をつっこんだ季節も
もうすぐ終わりをむかえようとしている
ガードレールにもたれかかって覗きこむ
ケータイのディスプレイは
行けそうで行けない
光のセカイへの扉のように照らされていて
なぜか、そんな、
冬の寒さににじむような景色が好きだった
この冷たい夜でなら、
ぼくは生きてゆけると、ぼんやり思っていた
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