マンションに住む鳩たち/ぽえむ君
 
都会で生き抜く鳩たちは
巣をつくるための枯れ枝を失い
マンションに住むようになった
冷暖房完備でオートロック
防音設備までも充実している
食料は近くのコンビニで二十四時間
夜目が利かなくても常に夜は明るい
不自由さは何もなかった
好きな時に好きなことを好きなだけ
鳩たちは一つのマンションに住みながら
群れを成すことはなくなった
一羽一羽が勝手に生きるようになった
隣の部屋の鳩が何をしているのか
特に気にする必要もなく
いなくなってしまったことすら
気づかないことも珍しくなかった
それでも鳩たちはそれが当たり前と思い
細い棒を見ても
それが何であるのかが
どの鳩に聞いても答えられなくなっていた
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