なたね梅雨/生田 稔
 





なたね梅雨、濡れ葉に皐月近づけり

緑に薄青き色を添えし衣着る娘立ちおれり

わずかに微笑みておれり

路に水流れ、曇り空、

夕餉の魚持ちてゆっくり歩む帰り道

灯ともし頃には、まだいとまあり


角には、犬いつものごと、大きく寝そべりて

声をかくれど知らぬさま

そのごとし質の犬にて、悪げなし

帰れど、わがほかに誰もなく、

静もりかえる部屋にいて、夕の支度などなすなり。




戻る   Point(6)