社会見学から地球崩壊まで/楢山孝介
子供の頃、僕らは社会見学で宇宙船を見に行った
飛行場の長い滑走路に降りてきたそれは
船体に星空を貼り付けているわけでもなく
凶暴な触手の持ち主が船体を食い破っているようなこともなかった
船から降りてきた宇宙飛行士たちは
どれもただの優秀そうな人間で
宇宙での体験を僕ら子供にも解りやすく話してくれた
とても興味深く、笑いどころもたくさんあった
それでも僕らは帰り道に浮かない顔して歩きながら
今日一日に何が足りなかったかを話し合った
誰かが言った
「危険とか冒険とかハプニングだろう」
ませた少女が言った
「乗組員同士の恋愛話よ」
僕は言った
「何かがなかったんじゃなく
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