いつかブッダになれたら/はじめ
旅歩いてきた人々にとっては仏の再来と拝まられた
煩悩も幻聴も無くなった頃 僕の心は涅槃に達しようとしていた 全身が朧月のようにぼぉっと光って あらゆる雑念や煩悩や幻聴は自分の自我が生み出したものであるとようやく気付いた 僕はゆっくりと瞳を開けると 遠く向こうに季節外れの葉をつけた菩提樹が立っており 絹の衣を纏った君がいた
僕は意識と無意識の間でゆっくりと微笑み 菩提樹と君がゆっくりと近づいてくるのが見えた 僕は立ち上がって間近まで来るのを見ると 菩提樹に手をかけ君にキスをした その瞬間 全ての星が僕達の下に降り注いできて僕はついに悟った 蕾を開けかけていた世界が花弁を開き 光を上空の彼方へと放っていた
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