いつかブッダになれたら/はじめ
幻聴 それは孤独な僕には良き話し相手さ
灰色の荒野には凍り付いた骸が地平線の向こうまで続いている
僕はその真ん中に胡座をかき 両手を合わせて宇宙から風に乗ってやって来る煩悩を心に取り入れている 修行の為だ どんな煩悩でも構わない
疲れ過ぎている為か 幻聴が多く聞こえる 悪魔の誘惑の声だ 煩悩が悪魔自身なのだ 悪魔は延々と戦争によって犠牲になった君の声で淫らな言葉を吐き出し続ける 僕はその一つ一つを真に受けていく しかし幻聴の魔力で筋肉を硬直させられこの世のものとは思えない絶望を味あわせられる 僕はそれは妹のせいだと思わない しかし君の煩悩がそうさせているわけで実際には振り切らなきゃか
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