スミザリン/チグトセ
僕は
まさに僕のような人間が、犯罪者になるんだろうと思った。
だけど僕は恵まれていて幸せで
犯罪者になることはなかった。
だから
僕は犯罪者に憎まれているんだろう、と思った。
そんなある日のこと
僕は犯罪者の少年と出会い
けんかになった。
ヒートアップする小競り合いの中
怖くなった僕は
彼の憎悪が膨らみきらないうちに、と
咄嗟に彼を殺してしまった。
こうして僕も犯罪者になった。
十五年後の真夏日に
僕は久々のセンター通りを歩いた。
何を考えればいいのかよくわからなかったので
人びとの平和を願ってみた。
願いはじめてみると、
この世はえらい不
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