かぜ・こえ・かくれな/
いとう
風が私の輪郭をなぞる
私は風によって顕れる
その刹那
私は世界だ
世界が終わるとも
声は続く
風の意志は続く
世界は風によって名付けられ
名は風に隠されている
声は名に隠されている
風の揺らぎで私も揺らぐが
私の名は揺らがない
名は風だけが知っている
名は風に隠されている
現象は輪郭に過ぎない
内実は輪郭の中にない
私は世界だ
世界の声は
とてもかすかだ
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