もうひとつの空/
乱太郎
空は悩んでいた
そのときそのときで
表情がころころ変わり
僕は
知らなかったわけではない
それでも
ただ眺めることしか
できることがなくて
空は泣いていた
大地に抱かれたくても
そこには
降りるわけにはいかない
僕がひそかに
空の頬を
撫でたいと思っていたのを
空は気づいていないみたいだ
呟くだけでは
届かない
紙飛行機を飛ばしても
届かない
白い風船を放しても
届かない
いつかの日のように
眩い陽射しを降り注ぐ
あの空に
翼があれば
戻る
編
削
Point
(12)