各々の春/瑠音
うか と
次の日彼女は
僕の名前を呼ばないでくれないか
忘れようとしているのに
僕の名前を呼ばないでくれないか
冷蔵庫を開けてその中にあったビールを2本手に取った
一本を君に
酔わせて何をする気なのと聞くから
一本で酔う女には惚れないよと返す
抱きしめたいだけだ
寒い冬が終わってもなお
残る孤独はどうやら雪とは無関係だったらしい
忘れようとすればするほど
だってノスタルジック
冬を追いかけて追いかけて
たどり着いたここに
花が咲いたら貴方を忘れると決めた
春の日 降られたし
聞いて
何が起きても
誰が何を思っていても
私は ただ君を信じているの 。
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