ホーテンベイリー/シリ・カゲル
休日のキッチンでイタリアンサラダを作っていると
天井から垂れ下がったホーテンベイリーが僕に囁く
「ちまきにしてしまえ」
しかし僕はちょうどその時
革命に参加しなかった無産階級のことを思っていたので
ホーテンベイリーの命令は耳に入らなかった
サラダが仕上がってパスタの茹でに取りかかると
ホーテンベイリーが脳下垂体を揺らしながら僕に囁く
「ちまきがいい」
しかし僕はちょうどその時
タイタス・アンドロニカスの中で流された血のことを考えていたので
ホーテンベイリーの懇願は耳に入らなかった
オーブンの中で、鴨のローストは徐々にその身を焦がしていく
そもそもうちにはワイン
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