あるメルヒェン/シリ・カゲル
動物たちの暮らす森に、一匹のイボガエルが住んでいました。彼女には悩みがありました。からだのあちこちにあるイボから、いつもミルク色のべとべとがしみ出していて、そのべとべとが体に触れる草花や、遊ぼうと近寄ってくる昆虫たちを溶かしてしまうのでした。それで、いつもイボガエルはひとりぼっちでした。
けれども、土曜日の夜だけは特別でした。森の真ん中には動物たちのためのレストランがあり、そこには小さなステージがしつらえてありました。土曜日になると、森の動物たちはそれぞれに着飾って、レストランに集まってくるのです。イボガエルはステージの横の控え室でべとべとを拭き取り、できるだけ体をきれいにしてから、たくさん並ん
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