「散歩」/広川 孝治
いつもは慌しく駆け抜ける公園
休みの日にゆっくりと歩く
入り口にはこぼれそうなほど花を咲かせたこぶし
差し出されるように花の重みで枝が下がってる
高いこずえで天を向く花よりも
目の前に差し出された花を美しく感じる
可憐な白が映える
公園の真ん中には桜の巨木
まだ時いたらず
無数のつぼみが春を待っている
やがて開いた花たちが
明るい色でこの公園を照らすのだろう
秘めた可能性を美しく感じる
かすかにほころぶつぼみ
出口の脇にまっすぐ上を向いて咲くチューリップ
黄色が太陽の光に誇らしげに光る
しゃがみこむ
余計なものを一切つ
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