ドナドナ/わら
 
紫煙のゆらぐ、香りの残響

異国の音色のたたずまい

赤と金をまといし霧の楼閣

ゆらりとまわるガラス化粧




ほとりに見える発光に

キミの越えた山々をおもう



雲にのまれた大地の先より
遠く、この街まで運ばれてきた



きみの生まれたと言う、その場所を
ぼくも偶然、見て来たよ


朽ちた柱と土ろうの重ね
桶にくめては、菜を洗う

豚の煮込む匂いのした



日に焼け、赤く、ほてった子たちが走り


にわとりを捕まえる、そのかたわら、
なにを見るでもない無表情な男たち



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