サザエ男/柴田柴助
 
珊瑚のオフィス街で
一人のヒトに会った
彼はサザエが大好きで
毎日毎日 サザエを探していた
 
せかせかと過ぎる時間
仕事に追われ
思い出と反比例するだなんて
せかせか人には
わからない
 
あのオフィス街も
過去のものになってしまった
思い出の波が押し寄せても
いつのまにか、ひいてしまう
 
あのサザエの彼はどうしているだろう
今もサザエを探しているだろうか
 
彼にとって
追われるのは波だけで
海に潜れば
ひいたりしないのだろう
 
きっと今も
海でサザエをとっているに違いない
 
私とは
逆の人間なのだろう
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