Not YABUSAKA in EDOGAWA/人間
 
ている為
生活の縫い目は粗く
EXORに立て籠もり その周りにDDTとTNTを散布し
GNPに貢献しつつMVPを目指してSOSを発しているような毎日だった

晩冬だった
夕陽で焦げた時雨が通り過ぎた
江戸川主流に身を任せて大きな白桃を抱いた赤毛猿が無数の若いツバメに鳥葬されているのを見付けた
俺は川の真ん中まで泳ぎ
濡れそぼる夢の中に若いツバメを帰し
赤毛猿の腕を掴んで岸まで運んだ
江戸川の彼岸から
逆立ちしたトッポジージョ人形たちが懐中電灯で赤毛猿を照らして口々に言った
「いや
こいつは藪坂じゃあねえ」

幸福は全て窓の外
真実は全て藪の中
浮世の首謀者である
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