蜉蝣/カスラ
 

七月の始めのある日 それはいっせいに羽化する

風:※空気は地球の化石

蜉蝣は透き通る億千の淡いエメラルドのカーテンとなり うつろい漂う

48時間のいのち

ただ 次の世代のためだけにある時を終え 水面にも雪とおり 浮びたなびく光りの帯となり 魚類たちの生体系を繋ぎ育む

つかの間の まどろみゆく夢の中に 悠久の過去より届く願いは 何をつたえているのか



蜉蝣には口が無い




…§…

※谷川雁
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