「リスト」/ソティロ
 
つかの静かな夜
眠りにつく前に
彼女のしろいうでを捉えて
「なんで」
と訊ねた
僕が窓側だったので卑怯だったと思う
彼女は少しわらって
「あなたの想像通り ここに
 私の脆さをあつめているの
 そのツケは必ずくるけれど
 どうしようもないことなのよ
 でもあなたはきちんともがくから
 見苦しくて好きよ」
と言って僕をつつんだ


あんまり嬉しくなかった


それから半年ぐらいも
彼女はテーピングがやたら上手だったり
包帯でぐるぐる巻きにして縛ったりして
いろいろと楽しかったけど
段々悪くなっていって
結局ダメだった


さいごにはじめて包帯のない左手首を見せてもらうと
そこに傷跡は見当たらなかった



僕の今の恋人はこのことを知らない



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