「リスト」/ソティロ
つかの静かな夜
眠りにつく前に
彼女のしろいうでを捉えて
「なんで」
と訊ねた
僕が窓側だったので卑怯だったと思う
彼女は少しわらって
「あなたの想像通り ここに
私の脆さをあつめているの
そのツケは必ずくるけれど
どうしようもないことなのよ
でもあなたはきちんともがくから
見苦しくて好きよ」
と言って僕をつつんだ
あんまり嬉しくなかった
それから半年ぐらいも
彼女はテーピングがやたら上手だったり
包帯でぐるぐる巻きにして縛ったりして
いろいろと楽しかったけど
段々悪くなっていって
結局ダメだった
さいごにはじめて包帯のない左手首を見せてもらうと
そこに傷跡は見当たらなかった
僕の今の恋人はこのことを知らない
戻る 編 削 Point(16)