「あちらこちらで」/プテラノドン
亡霊を手に指揮棒を振るう老人の
ずれ落ちた眼鏡に映っていた。
風が鳥を離さないと同様に、鳥もまた
風から離れようとしなかった。
「魂のつがい」と題された音楽が聞こえた。
風の鳴らすシンバルとともに
はじまった。
リズム、リズム
サンチマンタリスム
はやく、はやく
安全な場所に
閉じなくちゃ、閉じなくちゃ
棺桶を
アプリオリ。魂の復活。或いは、魂の笑う頃。
散ること、舞うこと、手短に―流れること
11月の秋は去り行くことに忙しいかった。
立ち止まる足―
磨かれたエナメル靴と鳩の糞。
金色の河辺に浸した裸足の片足。
酒場のテーブル
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