家族/
 


鍵を開け部屋に入ると
夕暮れが横たわっていた
ただいまを
告げることができずに
カーテンを閉めてしまう僕は
そうして一日が終わることを確かめる







母さんが壊れてしまってから
父さんは夕飯前に帰るようになった
二時間半の空白が
今どこで息をしているのか
逃げてきた僕は知らない







ひたすら睨んでしまう天井に
古びた映像が次々と浮かんで
消えることなく濁って行った

一人の部屋の中
叫び声が遠くから聞こえる
そんな気が している







思い出したようにメールが届いて
そこには何
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