フラッド/maynard
 
ても柵が腐敗する要素は無い
家畜が俺に不快感を与えて変えていくのを感じる
意思を解きほぐして信念を奪っていくのを

剥き出しの俺が泣き叫び
嵐が起きて 洪水が起きて
柵は押し流された
そして柵とともに流されていく家畜と目が合った時
自分の身の上を思い出す傍から
俺の憂いは消えていった
また涙があふれてきた
泣き叫べば良かったんだ

そして柵が押し流されつつ
流れる家畜の瞳を覗き込んだ時に
自分の身の上を思い出したが
もう恐怖は何処にも無かった
俺はもうすでに死んでいたんだ
俺はまたいつの日か死ぬだろう
それでいいんだ
それでも構わないんだ

また俺が蘇えってまた誰かが奪うんだ
欺けば流されて 騙されれば流されて
せめて蘇えれるのなら生きられるなら
細い蜘蛛の糸にぶら下がって
雲の上へ

洪水の対岸で
昨日の俺が瞳孔をひらて空を眺めている
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