四行未詩日記・二〇〇七年二月、三月/ならぢゅん(矮猫亭)
 
どこかほのぼのとした、しかし確かに悪夢だった

     その二

大切な約束があるのに電車がこない、いくら待っても
いくら待っても――いやそもそも時間が一向に進んでいない
ほっと胸をなでおろすものの安堵してもいいものかどうか
やれやれ、これも悪夢か。いつまでも続く執行猶予のとき


   曲がり角に棲んで・三月二一日

たとえば自転車のベルや時候の挨拶
子どもたちの笑い声、車の警笛、うわさ話
曲がり角に棲んで
出会いを聞きながら暮らしている


   四行すら・三月三〇日

日に日に膨らんでゆく花芽の速さに
四行すらもどかしく
満幹万樹おおいつくす夜桜を仰ぎ
声なく、ただ笑いがこみ上げるばかり
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