らぶれた/影山影司
たものから、共同作業(掃除や行事)をキリコ一人に押しつけ、何処かへ行ってしまう、等々。これまたキリコは平気であった。キリコは初めから授業中、何処を見ているか分からない風に視線を彷徨わせ、先生に当てられると「あぁ、はい、わかりません」と短く答えるだけであった。おままごと的に教科書とノートを開いてはいたものの、全然使っていなかったのだ。流石に上履きは無いと困ったようだが、職員用のスリッパを借りてペタペタ歩いていたのを、見た。
それに、キリコは、虐められても、男達が傍らに居た。いや、普段は全然、会話もしないのだが、ふと、キリコが困るような事があった場合、キリコはテキトーな男を見つけては「にぃ」と笑う
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)