キャラメルマン/マッドビースト
夏の気配をちらつかせては
まだ肌寒くなる朝には
寒がりな君のことを想うよ
咲いてしまった躑躅の並木や
同じくらい鮮やかになってしまった街の色が
こんな日は胸に痛くて
だから
さよならも言えない甘えた僕は
部屋に隠れて季節が過ぎていくのを
待っていたい
季節の終わりには散っていく花とか
動かなくなる虫だとか
そういうものに出くわさないように
じっとして
さよならもいえない甘えた僕だから
キャラメルの部屋に閉じこもって
季節が過ぎていくのを待っていたい
キャラメルになって
もっと辛い君の口に入って
この甘さで少し君の痛み和らげて
そのまま君の胃で
君にも知られずに
溶けたい
戻る 編 削 Point(3)