二人三脚/服部 剛
 
朝起きて顔を洗い
タオルで水を拭い 
洗面所を出ると 
もう
鏡から出てきた 
(ねぼけた自分) 
が背後からついて来る 
朝食を終えて 
玄関に腰かけ
靴を履き 
開いたドアの向こうは 
「 ましろい一日 」 
背後からついて来る 
(ねぼけた自分) 
との競争が始まる 
「 ましろい一日 」 
に踏み出して
追いつかれまいと
黒い足跡をつらねる僕の足と 
背後からまとわりつく
(ねぼけた自分)の足はいつのまに 
見えない紐で固く結ばれている
( 遠くで、風に揺られる花が、待っている )
あそこへゆかなければ・・・
(ねぼけた自分)をひきずる足で 
見えない空虚を切り裂いて 
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