壊れた扉から/はじめ
液体状の光が漏れていて僕の靴につくとキラキラと輝いていた
どうやら外の世界に触れると液状になるらしい
床に広がった光はゼリーのようにプルンとしていた
僕は光の先へと進んでいった
そこには色取り取りの花が咲き 蝶々達がその周りを飛び回り花の蜜を吸い 美味しそうな草が一面一杯に生えていて 牛や馬や羊達が首を垂れて無我夢中に頬張っている
そんな光景が際限なく続いていて ここは天国じゃないかと思う
僕はなだらかな丘を下っていって 煌めく海が遙か彼方まで広がっているのを見た
雲が海に引っ付いて 空が低い じっと立って耳を澄ませてみると 大地の声が聞こえてくる
僕は目を閉じて
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