夢/佐山鈴音
白いふかふかの毛の中に
顔を埋めて、まあるくなって
日だまりの中で夢を見る
君はいいよな
いつだって気楽で
いつだってわがままなのに
「気まぐれが可愛い」なんて言う気まぐれな人間に認められて
僕だって気まぐれがいい
ひなたぼっこして
ご主人様が呼んでも知らん顔して
「忠実なところがいいよね」
勝手に決め付けるなよ
僕らにだって、個別性ってものがちゃんとあるんだぜ
言いたくても、言えない
定められた役割があるから僕は生きていることを知っているから
真昼に浮かぶ月が僕を見ている
「なるほどね。それが僕の宿命なんだよな。やっぱり。」
今日も、僕は忠実に生きる
君を横目に通りすぎながら。
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