夢/佐山鈴音
 
白いふかふかの毛の中に
顔を埋めて、まあるくなって
日だまりの中で夢を見る

君はいいよな
いつだって気楽で
いつだってわがままなのに
「気まぐれが可愛い」なんて言う気まぐれな人間に認められて


僕だって気まぐれがいい
ひなたぼっこして
ご主人様が呼んでも知らん顔して

「忠実なところがいいよね」
勝手に決め付けるなよ
僕らにだって、個別性ってものがちゃんとあるんだぜ


言いたくても、言えない
定められた役割があるから僕は生きていることを知っているから


真昼に浮かぶ月が僕を見ている

「なるほどね。それが僕の宿命なんだよな。やっぱり。」

今日も、僕は忠実に生きる
君を横目に通りすぎながら。
戻る   Point(1)