ああ天よ/ぽえむ君
ある年老いた男が
山の中を一人で歩いていた
わずかばかりの荷物を
小さなリュックに入れてはいたが
引き返す気持ちは持っていなかった
男は朽ち果てた倒れた木を見つけ
そこに座った
辺りは暗くなり始めていた
男は空を見上げてつぶやいた
ああ天よ
なぜ私をこの世に生を授けたのか
苦しみの後には幸福がくると
そう信じていたが自分にはなかった
ずっと苦労ばかりだけだった
心に苦痛と傷ばかりの人生だった
その度に生きるとは何なのか
いつも考えさせられた
それももう疲れた
ああ天よ
私はこの世界に生きて正しかったのだろうか
誰かを幸福にして
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