ババロア/よだかいちぞう
 
彼女はびしょびしょに濡れた服を着て
この服いいでしょ
といった

ぼくは濡れてるから着替えた方がいいって
いったけど
彼女はそのうち乾くから平気だよと
まったく気にしていなかった

いつまでも濡れた服を着ていると
いけないというのは
いつからか常識のようにぼくのあたまの中に入っていたので
ぼくはその濡れた服ばかりに気を取られていた

次の日も
彼女はびしょびしょに濡れた服を着て
ぼくの前に現れた

ぼくがまた、また服が濡れてるよと
いっても
彼女は何も心配していなかった

彼女とぼくは街中を歩いた
すれ違う人が
びしょびしょに濡れた彼女の服に気付いて
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