空気見てるみたいに音の中に/水町綜助
なんか見つけた気になって
その逆も
失ったとか
奪ったとか
空気を取り合ってる
だからさ
きっとそれでも
なにかはほしいから
ほしがりだから
きっとぶつかるよ
どこまでも
いつまでも
それでたいてい壊れるし
破片がからりと
こなごなで
落ちて
夕焼けだけが照らして
長い影が伸びて
さみしいよ
そりゃ
その影はなににも触れないから
でもさ
おれは
その
あたるとき
硬いものと硬いものでもいいよ
やわらかいものが潰されるときでもいいよ
こぶしがもっと硬いものにぶつかるときでも
蜂の羽が羽ばたいて空気に当たるときでもいい
生まれた家の物置に落ちて
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