わがままなヘッドフォン/ぽえむ君
そのヘッドフォンは
わがままな存在と言われながらも
誰からの耳も貸さなかった
自分に流れてくる音楽に酔いしれ
他人には一切聴かせることはさせずに
自分だけの世界に閉じこもっていた
誰よりも何よりも
静寂を愛しているのかもしれない
外界からの煩わしさから
逃げたいという気持ちが強く
部屋の照明を消して
周りは何も見えない世界の中で
輝く空間を創り出したかった
自分だけの世界を守り続けようとした
今日もまた
近くで夜間工事の音で騒がしい中
一人で耳を澄まして
わがままに音楽に聞き惚れ
自分の思う通りの世界を描いている
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