夜の畑が息をする/ぽえむ君
夜の畑の前にふと立つ
まだ種しか植えられていない
土だけの畑
奥の方まで目を凝らしてみても
どこまでが畑で
どこからが空なのか
何の区別もない
ただ真っ暗な風景しかない
けれども畑は命をもっている
畑は今
息をしている
これから生まれゆく命を
包み込むかのようにして眠っている
春の光を吸い込み
今から育ってゆく命に
魂を注ぎ込んでいる
目を閉じれば
畑からその呼吸と鼓動が聞こえてくる
新しい春が始まるのだ
自分の呼吸が
畑の呼吸と同じになってきた
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