砂漠となる/光冨郁也
の砂漠になる。
頭上で何かが鳴いた。片目を開く。わたしのまわりを旋回している。鳥らしい。大きい。その翼を見ながらも、身体は動かない。
(朽ちるのか)
そうぼんやりと考える。骨になったわたしを、乾いた風が遠く海へと運んでくれるのだろう。
両目を開けると、冷めたい太陽が空一杯に広がっていた。まぶしい。白い光の輪の中心から、斜めに光の槍がわたしに振り下ろされている。光の槍につらぬかれ、砂となったわたしの身体は、風に吹き飛ばされていく。
細胞一つひとつが、砂となり、宙に吹き上げられていく。わたしの意識が、舞い上がり、四散していこうとする。
羽音がする。鳥が脚を前にだし勢いよく突き抜ける。
そしてわたしは、鳥の爪によって、地上に、叩き落とされた。
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