月砂/
黒山羊
冴え渡り 裸木連なる砂大路
赤下駄の大小 足跡は縄目模様
指しゃぶり 零れた涙は飴玉
頬拭う唇は 紅汚れ残し
「母様は水底に嫁いで去った」
有明月 呑み込み 囁く
蛇の抜け殻 砂に埋もれゆく
「亀の子は潮騒に引かれる」
轡の先で嘲笑う赤馬
苦海に流した雛人形
針の月に縫い止められ
浜に傾いで刺さっていた
「汀が終の道ならば」
足跡は月を追っていった
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