ワーキングホリデー/水町綜助
陽が
燃えて落ちる寸前の
溶けた鉄の色だ
燃えている
電力計が回るような音を響かせて
初夏の夜に一晩中鳴く青い虫の鳴き声にも似て
なみが打ち寄せる
ちょうどはだしの親指だけ浸るところに立って
半身ふり返った
逆光で顔は見えない
目だけは黒くて
泣いているみたいだった
ひとつ
大きななみがきて
口をひらいて
かなたの太陽が
あいた口に重なって
影の君は
太陽をたべた
*
もしもし
もしもし
*
もう世界旅行に出かけよう
木刀は俺が人数分作る
は、
やぶからぼうに
物騒だな
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