ワーキングホリデー/水町綜助
 
陽が
燃えて落ちる寸前の
溶けた鉄の色だ
燃えている
電力計が回るような音を響かせて
初夏の夜に一晩中鳴く青い虫の鳴き声にも似て

なみが打ち寄せる
ちょうどはだしの親指だけ浸るところに立って
半身ふり返った

逆光で顔は見えない
目だけは黒くて
泣いているみたいだった

ひとつ

大きななみがきて

口をひらいて

かなたの太陽が

あいた口に重なって

影の君は

太陽をたべた


 *


もしもし
もしもし


 *

 
もう世界旅行に出かけよう
木刀は俺が人数分作る
は、
やぶからぼうに
物騒だな
[次のページ]
戻る   Point(15)