ぬくもりの木/ぽえむ君
その木はぬくもりの森の中にあった
根を深く下ろし
広く伸ばして
太陽の光で守られていた
その木から放たれる力は
周りの生き物の命に
安らぎへのメロディーになった
その歌を耳にするものは
その曲にあわせ
自分のもつ命を精一杯
広げようとする
小鳥たちもさえずり歌う
命から命へ
それは小さなぬくもりの輪になって
森の全てに伝わっていった
春の木漏れ日が森に射し込む
葉から落とされた雫が光り
今という時が動き出す
絶え間なく湧き出る泉は
その森の鼓動
何一つ言葉を語らず
その木はぬくもりの森の中で
今日も在り続ける
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