通り沿いにて/戒途
ものの存在を疑うんです。
幻覚のうちに生を受けて死を迎えるんじゃないかと
たまに考えて立ち止まるんです
全てが。
例えば想像の産物ではないか。と
綺麗な風景も、素敵な映画も、大作の小説も、
全てに私の心が作り上げた想像の産物ではないでしょうか。
駄作ばかりが目に付くんです。
それは私の心が粗末なものだからではないでしょうか。
涙を流すほどの物語や風景はどこにあるのでしょうか。
転がった靴も、動かない体も、逃げていく車も。全部私の想像ではないでしょうか。
なんてひどい想像でしょう。
こうしている間に私は死を迎えるものなんだと思うんです。
ちょっと毎日が面白くなってきました。
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